先日の2019欧州選手権をもって競技選手を引退したハビエル・フェルナンデスがインタビューで最近のフィギュアスケートの傾向や採点システムについて苦言を呈しています。
ハビエル・フェルナンデスがフィギュアスケートの”不公平”と早熟傾向について語る
2019年1月28、NBCスポーツのWEBサイトにハビエル・フェルナンデス選手のインタビュー記事が掲載されました。
インタビューの中心は最後の欧州選手権や過去の活躍を振り返ったり、今後のビジョンについて語るものでした。
-関連:有終の美!ハビエル・フェルナンデス2019欧州選手権の海外の反応
インタビューの後半は現在のフィギュアスケート界のルールや傾向について自身の考えを正直に述べるものであり、とても興味深い内容だったので、シェアしたいと思います。
ハビエル・フェルナンデスのインタビュー記事(和訳)
以下はインタビュー後半の内容を翻訳したものです。意訳誤訳ご了承ください。
原文はコチラから確認できます。
ースケートの進化の仕方について話してもらえますか?あなたはSPの後かなり怒っているように見えました。ー
「はい。私は4Sが回転不足を取られて怒っていました。実際はそうではなかったのに。私のキャリアを通して、悪い演技で1位になったときにも怒っていました。一方、上手く滑ったのにペナルティを与えられても怒りますよ。ジャッジはスローモーションをチェックできますからね。
言わせてもらうと、ジャンジは着地をふまえてジャンプを評価します。これは良いことです。しかし彼らは踏切についても考慮に入れるべきです。たくさんのスケーターたちが踏み切る前に半回転回っています。これが公平ですか?それとも不公平ですか?」
ー女子選手が4回転を跳んでいることについてどう思いますか?ー
「すでに数人の女子選手が過去に3Aやクワドを跳んできたということはご存知の通りです。現在、このスポーツではその傾向を推進しているようです。そして再び日本人とロシア人の少女が3Aを成功させ、今ではアメリカ人の少女もこれに続いています。それは良いことかもしれません。ですが実際にどれだけ良いことなのかを評価するためには数年待つ必要があります。最悪なことは、14歳の少女がジャンプを跳べなくなって引退してしまうことです。12歳でクワドを跳べた女の子が25歳になってもそれを跳べますか?そんな事例はまだ見たことありません。」
ーなぜあなたはこのことがスケートにとって最悪だと考えるのですか?ー
「スケートの大会を見に来るお客さん全てに、来る理由があります。スケーターは自分を応援してくれる人々を必要としています。もし21年間スケートをしていたら、応援してくれる人々が増えて、試合にも来てくれるでしょう。反対に、もしあなたを楽しませてくれたスケーターが、たった数年後に競技することさえできなくなったらあなたは会場に来ますか?
そう遠くない将来に思い出してください。スケートで最高なことは長年スケーターを応援できたことだった、と。そしてそれらのスケーターがスケート人気に貢献したんだということを。」
以上です。
現役を退いたからこそ語れる”本音”だったのではないでしょうか?
当サイトのスケーターの演技に対する海外ファンの反応でも
「プレローテーションジャンプ」は話題となっています。
現役選手も同じ思いを抱いていたようです。
現行では容認されているプレロテジャンプですが、
着氷だけ厳格化されていくのは、
プレロテしない選手からすれば不公平と感じてもしょうがないですよね。
プレロテについても女子の若年化についても、
より難しい技を求める現代の風潮においては
規定を定めない限り増加していくのではないでしょうか?
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とくに女子は高難度ジャンプが見られる時代になり
ワクワクする半面、
グレイシー・ゴールド選手やガブリエル・デールマン選手のように
拒食症や鬱で苦しむ選手も珍しくありません。
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人々に喜びを与えてくれる選手たちが、最後に悲しみに包まれて引退する。
そんなスポーツであって欲しくはないですね。
ちなみにハビエルはインタビューで将来指導者になりたいと語っています。
長年国際舞台で活躍し、真4回転時代という一大転換期の中でも
トップクラスに居続けたハビエル氏だからこそ、
未来のスケーターに伝えたい事たくさんあるのではないでしょうか。